設立の経緯
吃音相談室カタリナは、東日本大震災の起きた2011年4月に創設した早坂吃音相談室から育ったものです。2015年から2021年4月まで、一般社団法人早坂吃音専門士養成協会内の一つの部署として、吃音に特化した臨床活動を行って参りました。2021年5月に個人事業として新たに出発した相談室です。
特徴
相談室長の早坂は、筑波大学、広島大学で言語障害一般と吃音症(併存症として、発達症、視聴覚、運動、精神など)を教え、教育の一貫として臨床に携わって参りました。私自身、病に倒れ、再出発として小さな相談室においての吃音(幼児~成人)のご相談と、直接の治療・指導を行って参りました。常時約30名の方々、2才~50代まで幅広い年齢層の方々がおいでです。個別指導が中心ですが、ニーズに応じ、4~5名の小グループでの体験の分かち合いなどを行っています。
治療・指導法のべ―ス特徴なる立場、考え方
その①
幼児・幼年期(幼児期プラス学童中学年まで)までは程度の差はあるが自然治癒力が働く時期です。急激に成長・発達する身体と心、それを育み、守る家庭、学校、地域の理解の中で非流暢な話し方を脱してしまうことが見られます。勿論、子どもの中に育まれる自然治癒力を働かせる為の子どもと子どもの言葉、気質、性格、特性への周囲の理解や、ありがとう、発語意欲、コミュニケーション意欲を育てる環境の整備など、細やかに行なう必要があることもあります。
自然治癒条件を整えると共に、自分は自分でよい、ありのままの自分を肯定していながら自己肯定感を育てる事は、これもまた自然治癒力、改善力を引き出す大きな条件となるでしょう。
その②
学童期・思春期、この頃の特徴は内省的になること、自分を客観視する様になること など、吃音を客観視し、対応を考えていくのに良い時期に入ります。この時期もまた 吃音への理解ある支援者の存在が必要です。囚われ過ぎず、上手に吃音と付き合う経験を積む時期でもあります。
その③
就労期・成人期、理解ある仲間、上司が特に必要となってきます。社会啓発活動もそれを背後から支えます。仕事がどれほど言葉に依存しているかにも依りますが、非流暢性が業務に大きく響く場合は、部署を変えたり、仕事を変えるなど、時にその人の価値観に抵触する場合もあって難しいこともあります。自分の思い、願い、要求を表現し、トライする力を育て、共に歩む関係作りを作ってゆきたいと思います。
私が特に大切だと考えること
月に1~2回の臨床の中では、上記のベ―スの上に一人一人の目標を立て、具体化してゆく中で、目標達成が難しいこともあります。小さなお子様の場合は、折々に保護者との面談を踏まえ、目標の確認、変更をすることもあります。
成人の方の場合は、残念ながら効果を確信出来るほどに有効な治療法も未だない中、より生き易い、囚われの少ない人生、その人らしさのでる人生をお支えする、そんな姿勢を大切にしています。
マインドフルネスなど、呼吸法をベ―スとした気づきを豊かに育ててゆくことも大切なことと考えています。